第13章 【第十二話】記録に残らない熱
「だが、前回と同種の現象なら、人数を増やせば安全になるとは限らねぇ。内部で位置関係を崩されれば、分断される人間が増えるだけだ。異常の範囲も性質も分からない以上、むやみに大人数を入れるのは危険だ」
コムイさんが頷く。
「だから今回は、最小限の編成で現象の確認と先行班の捜索を行う。現地へ向かうエクソシストは、ティファちゃんとラビの二名だ」
私は、小さく息を呑んだ。
「それぞれの役割を持って現場へ入り、互いに判断を補いながら行動してほしい」
コムイさんの声は、静かでありながらはっきりしていた。
「目的は、異常の確認。消息を絶った先行班の捜索。そして、生存者がいる場合の救出だ。敵との交戦が避けられない場合を除き、無理に現象の中心へ踏み込む必要はない」
誰かに守られるためだけに、私は向かうのではない。
ラビもまた、私の傍へ置かれるためだけに選ばれたのではない。
私たちは、それぞれの役割を持って、同じ任務へ向かう。
そう分かっているのに。
ラビが隣に立っていることへ、どこか安堵している自分がいた。
「現地案内と外部連絡のため、ファインダーを一名同行させる」
リーバーさんが、私たちの前へ資料を滑らせた。
「トーマスという若い奴だ。以前、遊園地周辺の外周調査に参加している。内部へ深く入った経験はないが、最寄り駅から現場までの経路と、先行班の中継地点は把握している」