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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第6章 【第五話】存在を繋ぐ歌


その輪郭に、ほんの一瞬だけ、穏やかな温もりが戻る。

まるで、泣かないで、と微笑んだように。

胸が、潰れそうに痛んだ。

私は歌を止めなかった。

止めるわけにはいかなかった。

「……どうか、安らかに」

旋律を重ねる。

白い光が、母親の魂を包む。

その隣で縛られていた幾つもの魂も、一つずつ光へ溶けていく。

黒い霧が、初めて明確な悲鳴を上げた。

「今じゃ、ティファ嬢!」

ブックマンの声が飛ぶ。

針で築かれた光の囲いが、一斉に輝きを増した。

霧の中心が裂ける。

そこには、イノセンスではない、黒く焼け焦げた糸の束のようなものが脈打っていた。

誰かの意志が残した、死者を縛るための核。

「ラビ!」

「分かってるさ!」

少女を霧の外へ下ろしたラビが、大槌小槌を振り上げる。

傷だらけの身体で踏み込み、露わになった黒い核へ真正面から叩き込んだ。

「砕けろ!」

激しい衝撃と共に、黒い核へ亀裂が走る。

私は最後の一音を紡いだ。

「――ニルヴァーナ」

白銀の光が、二振りのレイピアから溢れた。

それは、還っていく魂へ向かうものではない。

魂を歪め、終わることさえ許さず、この地へ縫い留め続けた拘束だけを断ち切るための光。

刃が、黒い核を貫いた。

瞬間。

世界が白に染まった。
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