第21章 転入生
その日。
1年A組の教室は朝からざわついていた。
「転入生?」
「この時期に?」
「しかも海外かららしいぞ!」
教壇に立った相澤がいつも通り気怠そうに口を開く。
「お前らもう噂で聞いたと思うが、今日からしばらくA組に転入生が来る」
異例だった。
雄英でこのタイミングの転入はほとんどない。
ましてやヒーロー科だ。
「オールマイトの案件で、アメリカのヒーロー専門機関にいる知り合いに頼まれたらしい。期間は一ヶ月。仲良くしろ」
そこまで言って相澤は扉の方を見た。
「入れ」
ガラッ。
教室の空気が変わる。
入ってきたのは、黒髪の男子生徒。
整った顔立ち。
鋭い目。
静かな圧。
制服の着こなしまで妙に様になっている。
教室が一瞬静まり返った。
男子も女子も「うわイケメン……」ってなるタイプ。
彼は淡々と教壇前へ立つ。
「……八神凛」
低い声。
「アメリカから来た」
必要最低限しか喋らない。
だがその雰囲気だけで空気を持っていく。
「一ヶ月だけ世話になる。よろしく」
静か。そしてクール。
上鳴が小声で呟く。
「うわ、なんか強キャラ感すげぇ」
切島も頷く。
「めっちゃ冷静そうなタイプだな」
すると相澤が補足した。
「実力はかなり高い。アメリカ側でも期待されてる。以上」
そして相澤は席を指した。
「空いてる席使え」
凛が歩き出す。
だが。
ふと教室を見回した時。
ぴたりと止まった。
その視線の先。
窓際。
そこにいたのは爆豪。
そして轟。
二人とも何故か凛を睨んでいた。
理由は単純。
“イケメン”。
しかも雰囲気が強い。
なんか嫌な予感がする。
凛も静かに二人を見る。
空気が少しピリつく。
出久は冷や汗をかいた。
(な、なんか初対面なのに怖い……!)