第14章 お茶会
太宰治は盛大に溜息を着いた。
やっとのことで、ここ最近のポートマフィアを脅かしていた脅威ーーー影使いの異能力者と裏切り者の始末を終えたばかりだというのに、休む間もなく首領室への招集命令が下ったのだ。
「チッ、森さんも人使いが荒いんだから」
誰もいない廊下で舌打ちしながら、首領室へと向かう。
太宰が現れたと同時に、扉の前に立っている見張りの男達がススッと扉の前を開ける。
太宰は一呼吸おいて扉を叩敲すると、入室許可の返事が帰ってくる前に中に這入った。
「エリスちゃ〜ん、此方のドレスも着てみてよ!」
「イヤよ。もう疲れたわ」
「そんな〜〜〜でもそんなエリスちゃんも可愛い」
「ウザい」
「……。」
太宰は呆れた顔で、件のやり取りが終わるのを待った。
そんな太宰に気付くと森はコホンと1つ咳払いをして太宰に向きやった。
「あ、太宰君。よく来てくれたね」
「自分で呼んでおいて何です」
「辛辣」
森の返しに太宰がハア、と溜息をこぼした。
「それで。何の要件でしょう。裏切り者の件ならば、今のところ、これ以上の脅威は在りませんが」
「その件については報告書も読んだし納得しているとも」
森はニッコリ笑うと机の上に置いてあった1枚の紙を手に取る。
「じゃあ何です?真逆、もう次の案件を用意してるなんて云いませんよね?」
報告をしてからまだ一日も経っていない。
そんな状況下で、次の仕事の話が来るとなると流石の太宰もうんざりした顔をあからさまにするのだった。
「いやいや。報告書について1つだけ聞きたいことがあってね」
太宰の表情から森は慌てて否定して、手に持っていた紙を太宰に向けて差し出した。
それを受け取る太宰。
「げっ。」
「報告書に不備はなかったよ?でも、どうしても『ソレ』について知りたくてね」
にっこり笑って云う森。
太宰は頭を抱えた。
そこには、防犯カメラの映像と思われる切り抜き画像が1つプリントアウトされていた。
「件の情報屋かな?」
写っているのは自分もよく知る人物、中原中也と、この事件の解決に協力してくれた一人の少女が一緒に歩いている場面だった。
その問いに太宰は間を置いて肯定の意を示した。
そして、次に紡がれる言葉を想像して
「会いたいなー『彼女』に」
矢張りこうなった、と頭を抱えた。