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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**


「……ちょっと待ってろ」



立ち上がって、を背後へ庇う。
ノブに手をかけ、慎重にドアを開ける。



「…………」



廊下には誰もいなかった。
左右を見ても、人影はない。

……気のせいか?


念のためもう一度廊下を見回してから、扉を閉める。



「大丈夫だ。たぶん、なんか倒れただけだろ」

「……そ、そっか」



はこくんと頷くと、慌てたように服の乱れを直した。



「……」

「わ、私、帰るねっ」



こっちを見ないまま、早口で言って、俺の横を通り抜けようとする。
それを見た瞬間、勝手に手が伸びた。



「えっ……んっ――」



引き寄せて、また唇を塞いだ。
さっきまでのことを、もう一度思い出させるように。


唇を離すと、は驚いたように目を見開いて、何も言わず俺を見ている。

俺も、目を逸らせなかった。










「早く……俺のこと好きになれよ」







何言ってんだ、俺は。
答えを待つとか、急かすつもりはないとかカッコつけてたくせに。



「…………」



は何か言おうとしたのか、唇がかすかに開いた。
けれど、声までは出てこない。

代わりに、は前髪に触れて、ぎこちなく視線を逸らした。


困らせた。
でも、今さら取り消せるわけもない。



「……っ、おやすみっ! また明日」



逃げるみたいにそう言って、は小走りで廊下を離れていった。



「……ああ」



返事をする頃には、もう背中しか見えなかった。

角を曲がって姿が見えなくなるまで見送ってから、部屋へ戻ろうとした。
その時、ふと足元に目がいった。



ない。



部屋に入る直前、が落としたはずの本がどこにもない。

さっき扉を開けた時は気づかなかったが、確かにここに落ちていたはずだ。





誰かが、ここを通って拾ったのか?

今日は、先輩たちも虎杖も出払ってるはず――。





「……まさか」
















𓂃 クロユリは君を離さない 𓂃

── to be continued.
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