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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**






高専に戻った頃には、もうだいぶ遅い時間になっていた。


本当なら自宅のマンションに帰ってもよかったんだけど。

なんとなく。
の顔でも見てから帰ろうかなと思った。
お土産買って帰るって言っちゃったし。


寮へ向かって歩いていると、曲がり角の向こうから硝子が出てきた。



「お、硝子。お疲れサマンサー」

「……出張って聞いてたけど」

「予定より早く片づいちゃって。僕、シゴデキだから」

「……五条」

「ん?」

「お前、香水くさい」



硝子が露骨に嫌そうな顔をして、鼻の前で手を払う。


ああ、さっきの女のか。
自分じゃもうわからなくなってた。



「別にお前がどこで誰と何してようが、私はどうでもいいけど」

「冷たいなー。僕たち、唯一の同期じゃない。もうちょっと僕に興味持ってくれてもよくない?」

「ない。それより、その匂いのまま生徒の前うろつくのはやめろよ」

「わかってるよ」



硝子は大きくため息をつくと、ふと思い出したように「あ」と声を漏らした。



「そうだ、五条。これ、伏黒に渡しといてくれないか」



脇に抱えていた書類の中から、薄いファイルを一冊抜いて差し出してくる。



「僕が?」

「寮の方行くんじゃないのか」

「……まあ、そうだけど」

「明日でもいいんだけどな。見かけたら渡しといて」

「はいはい」



僕がファイルを受け取ると、硝子は白衣のポケットから煙草を取り出し、一本咥えた。

カチ、とライターの音がして、夜の空気に細い煙が昇る。



「そういえば」

「ん?」

「伏黒と、付き合ってるのか?」

「……は?」



硝子は煙草を指に挟んだまま、こっちを見る。



「今日、二人で出かけていくの見たけど」

「……二人で? どこに?」

「そこまでは見てないけど。私服着て二人で歩いてたから。違うのか?」

「違うでしょ」
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