第7章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない**
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高専に戻った頃には、もうだいぶ遅い時間になっていた。
本当なら自宅のマンションに帰ってもよかったんだけど。
なんとなく。
の顔でも見てから帰ろうかなと思った。
お土産買って帰るって言っちゃったし。
寮へ向かって歩いていると、曲がり角の向こうから硝子が出てきた。
「お、硝子。お疲れサマンサー」
「……出張って聞いてたけど」
「予定より早く片づいちゃって。僕、シゴデキだから」
「……五条」
「ん?」
「お前、香水くさい」
硝子が露骨に嫌そうな顔をして、鼻の前で手を払う。
ああ、さっきの女のか。
自分じゃもうわからなくなってた。
「別にお前がどこで誰と何してようが、私はどうでもいいけど」
「冷たいなー。僕たち、唯一の同期じゃない。もうちょっと僕に興味持ってくれてもよくない?」
「ない。それより、その匂いのまま生徒の前うろつくのはやめろよ」
「わかってるよ」
硝子は大きくため息をつくと、ふと思い出したように「あ」と声を漏らした。
「そうだ、五条。これ、伏黒に渡しといてくれないか」
脇に抱えていた書類の中から、薄いファイルを一冊抜いて差し出してくる。
「僕が?」
「寮の方行くんじゃないのか」
「……まあ、そうだけど」
「明日でもいいんだけどな。見かけたら渡しといて」
「はいはい」
僕がファイルを受け取ると、硝子は白衣のポケットから煙草を取り出し、一本咥えた。
カチ、とライターの音がして、夜の空気に細い煙が昇る。
「そういえば」
「ん?」
「伏黒と、付き合ってるのか?」
「……は?」
硝子は煙草を指に挟んだまま、こっちを見る。
「今日、二人で出かけていくの見たけど」
「……二人で? どこに?」
「そこまでは見てないけど。私服着て二人で歩いてたから。違うのか?」
「違うでしょ」