第1章 【直哉×働き者女中】
は、自分の服を掴んで震える彼の手を、そっと見つめた。
彼は自分を消費していたのではない。
この男もまた、どうしようもない「愛し方」の欠落に、独りきりで苦しんでいたのだ。
「……直哉様」
は、自由になったもう片方の手で、彼の濡れた頬をそっと拭った。
屋敷に戻れば、また「何もするな」と怒られるかもしれない。
また他の女中たちとの壁に、寂しさを覚えることもあるかもしれない。
けれど、今目の前で泣きじゃくるこの男の「孤独」を埋められるのは、世界で自分一人だけなのだという、あまりに重くて確かな「役割」を、彼女は確かに感じ取っていた。
「……お屋敷へ、帰りましょう」
の静かな声に、直哉は縋り付くように頷いた。
夕暮れに染まる京の町。
着飾ったお姫様ではなく、地味なジーパン姿の女中が、泣き濡れた次期当主の手を引き、再びあの巨大な鳥籠へと歩き出す。
それは、決して正解ではない。けれど、二人にとっては、それ以外に生きる道のない、人生の始まりだった。
【直哉×働き者女中夢主 完】