第5章 カミングアウト
渡したのは旅行のお土産。雪が降る前にと北海道に行った両親は甘いものからしょっぱいものまでちゃんと揃えていた。私も少しもらいたいくらい。
私の手からはーくんの手へ土産袋が渡り、わざわざありがとな、とお礼を言われて、返事より先に切り出した。
「どうした藪から棒に」
「ちょ、聞いてよ」
「おう」
自分で言っておいて心臓が、ドクン、と音を立てる。
息を呑むと、喉が閉まって、瞳が熱くなっていくような気さえした。
「はーくんのこと、好きだったんだよ」
「…え……」
想像はしていた。
赤くなるかな、とか、困っちゃうかな、とか。
でも1番しっくりきたのは、ポカンと呆気に取られる姿。
やっぱり想像通りだ。
「…………わ」
「謝んないで」
悪い。
きっとそう言うつもりだったんだろう。
ずっと見てきたから、それくらいわかる。
逆に、そこまでわかれば、私も落ち着いてしまう。それが少し、嬉しくて寂しくて、ちょっとだけ悔しいような。
「部活…っていうかバレー頑張ってたしさ、邪魔したくないな〜って思ってたら、なんかすごい時間たっちゃって」
「…」
「結婚するんだってね。よかったよね。…あ、変な意味じゃないよ」
「…………お前もわかってたのかよ」
「だってずっと見てたんだもん。はーくんのこと」