第4章 とある秋の夜
「…何してんだ」
「え、京谷?なんで?」
「帰り道だ」
「あ、そっか…」
ゆるくキイ、キイ、と音を鳴らしながらブランコに座っていたそいつは、カバンを投げ捨てて、呆然と空を眺めていた。
「なんか帰るの嫌で」
「…?」
親と喧嘩でもしたのかと思ったが、こいつも俺がそう考えているのを察したのだろう、すぐに説明が始まる。
「この前さ、話聞いてくれたでしょ。岩泉先輩の好きな人、結婚するんだって」
「うちもその先生と交流ないわけじゃないからさ。……そのせいでなんかお祝いムードで」
「別にどっちも嫌な人じゃないしお祝いしたいんだけど、なんとなく居づらくてさー」
「ごめんね、こんな話して」
「…別に」
「別にって!」