第1章 1 JKとおじさん
9月の下旬に差し掛かったある日。
12年を共に過ごしてきた母親が
静かに亡くなった。
寿命。と、ただそれだけ。
優しい人だったから、苦しまずに時間が来たならそれでいいと思った。
でも同時に…
私の大嫌いな
個性を使いたくなった。
長い葬儀を終えて、馴染めなかった高校も中退。
その後は考えていなかった。
家具・小物、いらないものは全て残し、家を出た。
外は冷たい風が吹いていて、制服にカーディガンを羽織っていたが、少し肌寒い。
もう少し厚いジャンパー、持ってくるんだった。
なんて、少しだけ後悔した。
益え込んだ住宅街を一人で歩く。
行く当てのない、おぼつかない足取りで。
気が付くと見覚えのない場所を歩いていて、 小さく呟く。
『…結構歩いた、 かな…?…あ』
周りを見渡すと、 小さな路地裏を見つけた。
多少の風しのぎと体憩を兼ねて、隅に座り込む。
…いっそこのまま____
「おやおやぁ?」
突然聞こえた声に肩を揺らし、 顔を上げる。
そこには
バーテンダーの様な格好をした男が
立ってこちらを見下ろしていた。