第27章 邂逅
『あの、今から伺う方も
刀鍛冶をされていらっしゃるんですか?』
「えぇ、そうですよ?
今は山の中で火を起こす際に使用する薪を割っているはずでして…。
あ、いました、あそこです。」
男性が指差した方角を見ると
視界に入ったのは後ろ姿だけ。
山の木々が連なっている事で
はっきり姿は見えなかったけど
私は何故かその人の背中を知っているような気がした…。
何でそんな風に思ったのか、自分でも分からない。
だから顔を見れば
もしかしたら何処かで会った事がある人なのかもしれない…。
そう思いながら徐々に足を進めて行く事で
切り株に腰掛けて薪を割る姿を捉え、案内役の男性がその人に大声で声を掛けた。
「おーいっ、丈治さーん!!」
『え…っ』
ジョウジ、って……
いやいや、そんな訳ない…。
確かに私が知ってる人の中に同じ名前の人はいるけど、男性にはよくある名前だし、同一人物のはずがない…。
頭の中で自分にそう言い聞かせてるけど
その人に近づくにつれて、心臓の音がバクバクと大きくなってきて…
「すみません丈治さん、
鬼殺の方がお聞きしたいことがあるそうで…」
「ん?俺にか?」
『っ…!!』
嘘…
どうして声まで…、あの人にそっくりなの…?
雪の呼吸を知ってるジョウジさんって…
本当に……私の知ってるあの人なの…?
『う、そ……、嘘、だよ…』
「…?どうした…?」
私の様子がおかしい事に気付いた冨岡さんが声を掛けてくれたようだけど、私の耳には届いて来なくて…
心拍が加速し、呼吸が乱れて来てるのを感じながら、ジョウジと呼ばれる男性を見つめていると
その人は、案内役の人が側に駆け寄ると
薪を割っていた鉈を地面に置き、こちらの方を振り返った。
「…!!!!嘘だろ…、冬美…っ、
いや、違う……。
まさか………なの、か…?」
『っ…!!』
案内役の男性と同様、
刀鍛冶の里の人はみんなひょっとこのお面をつけている…。
その男性も同じような面をつけていたけど
私の姿を捉えると、自分の面を外し、素顔を晒した。