第23章 『酔わせ×理性崩壊』藤堂平助編*
その日、屯所は珍しく穏やかだった。
夕飯のあとにぽつぽつと隊士たちが部屋へと引いていく頃、わたしは一計を案じていた。
(この前、平助くんに酔ってるところ見られちゃったし……今度は、こっちが酔わせてみよう)
甘口の梅酒を、湯呑みに一杯ずつ注いで。
ふらっと平助くんの部屋を訪ねた。
「平助くーん、ちょっとだけ、お邪魔してもいい?」
「ももかちゃん、急にどうしたの?」
「梅酒持ってきたの。少しだけ、一緒に飲も?」
首を傾げて笑うわたしに、平助くんはきょとんとしながらも、「うん、いいよ」と頷いた。
「じゃ、乾杯っ」
湯呑みに注いだ梅酒を、無邪気に差し出してみせる。
「……ん、美味しいよ。平助くん、甘いの好きでしょ?」
「ん……まあ、ちょっとだけなら……」
甘い香りに誘われて、彼はくいっと一杯、喉を鳴らした。
ふわっと頬を赤くした平助くんの隣に腰を下ろして、さらに肩にもたれて甘えてみる。
「平助くん、ちょっと顔赤い。もしかして、酔っちゃった?」
「……ももかちゃんのせいだよ。そんな顔で笑われたら、誰でも酔うっつーの」
そう言って目線を外した彼を見て……わたしは身体の奥がきゅっと熱を帯びるのを感じた。
「……ねえ、平助くんって……
酔ってる時、どんなふうに女の子、抱くの?」
「はっ……?」
「いっそ、今夜……試してみる?」