第57章 歪んだ愛、終わりの始まり ※※
A「あぁ……そうだ」
思い出したように言う。
A「君には、もう少し説明しておこう」
ゆっくり歩きながら続ける。
A「“回帰”という個性はね、美しい心を持つ者にしか扱えない」
洞窟の中で、その声が静かに響く。
A「僕がこれまで集めてきた個性の中でも、最も強く、それでいて、ワンフォーオールと同じくらい思い通りにならない個性だった」
オールフォーワンは小さく笑う。
A「唯一、僕自身が扱えない個性。それが“回帰”だ」
の胸が、ざわつく。
オールフォーワンは続ける。
A「だから僕は、ずっと探していた。適合者を。だが、なかなか見つからなかった」
少し歩みを止める。
A「そんな時だ。ある街で、君を見つけた」
の呼吸が止まる。
A「まだ幼かった。だが、滲み出る美しさがあった…神聖さと言ってもいい。…僕はすぐに、君と接触した。"個性がわかる個性"と嘘までついて」
の記憶の奥。
優しい笑顔。
オールフォーワンの声が重なる。
A「そして調べてみたら――どうだ」
声が少し弾む。
A「君はすでに個性を持っていた。"愛"という個性をね」
洞窟に、オールフォーワンの笑いが響く。
A「運命だと思ったよ」
の指が震える。
A「君の個性“愛”はね。人から愛されれば愛されるほど強くなる…。だが、愛だけでは大した力にはならない。だから僕は…その場で“回帰”を与えてみた」
静かな声。
A「愛と回帰。2つが混ざり合えば、最強の個性になると思ってね」
「……っ」
体が震える。声が出ない。
オールフォーワンはさらに続ける。
A「…与えられる愛の中で最も強いのは、母の無償の愛だ」
一拍。
A「母親がいれば、君はほぼ無敵だった」
洞窟の空気が冷える。
何故か嫌な予感が身体中を駆け巡る。