第57章 歪んだ愛、終わりの始まり ※※
喉が焼けるように痛む。
は激しく咳き込んだ。
体が折れ、肺に空気を無理やり吸い込む。
視界が揺れる。
暗い。
岩肌の匂い。
湿った空気。
顔をあげると、まるで洞窟のような場所だった。
「…ここ……」
体を動かそうとするが、動かない。
指先ひとつ、動かない。
見えない何かに体を固定されている。
その時。
「やぁ」
静かな声。
背筋が凍る。
はゆっくりあたりを見渡した。
暗闇の奥。
そこに立つ影。
「……オール……フォー……ワン」
声が震える。
怒りで。
恐怖で。
そして、憎しみで。
オールフォーワンは、ゆっくりと笑った。
A「ふふふ……」
余裕の笑み。
A「そんな顔をするとは思わなかったよ」
ゆっくり歩いてくる。
靴音が、洞窟に響く。
A「何をそんなに怒っているんだい?」
の歯が、きしむ。
「……許さない」
絞り出すような声。
オールフォーワンは楽しそうに首を傾けた。
A「へえ?なぜかな?」
少し近づく。
A「愛されるのに、疲れたかい?」
「……は?」
オールフォーワンは続ける。
A「普通の人間ならね」
洞窟の天井を見上げる。
A「これほど愛されれば、その上にあぐらをかき、さらに欲が生まれ、すべてを手に入れたいと思うものだ」
「…何が、言いたいのか……」
怒りで声が震える。
「…わからない」
オールフォーワンは、ゆっくりの顔を覗き込んだ。
A「君の心はね、とても綺麗で、濁りが一切ない。だからこそ」
少し笑う。
A「愛される。だからこそ、“回帰”は完成する」
の瞳が揺れる。
「……意味が……」
声がかすれる。
オールフォーワンは楽しそうに笑った。
A「ふふふ……。美しい顔が歪むのは、実に愉快だ」
そして、ゆっくり言う。
A「じゃあ分かりやすく教えてあげよう」
洞窟の奥で、声が響く。