第56章 羽織る温もり、奪われた光 ※
ジーニストの指先が、ゆっくりとの背中をなぞる。
触れ方は、最後まで変わらない。
急かさず、奪わず、ただ包み込むように。
静かな部屋の中で、2人の呼吸だけが重なっていた。
やがて、すべてが落ち着いていく。
ジーニストはしばらくの間、何も言わずにを抱き寄せていた。
腕の中の体は、少し震えている。
気づけば、涙が静かにこぼれていた。
ジーニストは何も言わない。
ただ、指先でその涙を拭う。
は目を閉じたまま、小さく息を吐く。
張り詰めていたものが、すべて抜けていく。
体から力が抜ける。
ジーニストはそのまま、髪を整えるように撫でた。
ジ「……眠りたまえ」
低く穏やかな声。
はもう返事もしない。
ただジーニストの腕の中で、静かに眠りに落ちていった。
外では、夜風が静かに吹いている。
しばらくして、扉が静かに開いた。
ホークスだった。
部屋の中を見渡し、すぐに状況を理解する。
ベッドの上。
眠っている。
そして、その隣に座るジーニスト。
ホークスの視線が、わずかに細くなる。
ジ「…君も気づいていただろう。は限界に近い」
ホークスは壁に寄りかかる。
ホ「まぁ、ね」
視線はベッドに落ちている。
眠るの頬。
泣いた跡。
ホークスの表情が、ほんの少しだけ変わる。
ジ「君も、あまり背負いすぎるな」
ホークスの眉がわずかに動く。
ジ「彼女のために壊れるつもりなら…それは、決して正しい支え方ではない」
静かな断言。
ホークスは少し笑った。
ホ「……のためなら、それでもいいっすよ」
迷いはない。
ジーニストは一度、深く息を吐いた。
ジ「2人とも壊れたら…誰がを支える」
ホークスは少し黙る。
それから、ふっと笑う。
ホ「……抜かりないっすね」
軽い声。
ホ「そんな正論並べて」
視線が、ジーニストに向く。
ホ「ちゃんと自分も彼女抱いてるあたり」