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【ヒロアカ】愛と癒しの代償【R18】

第55章 告げられる想い、壊れていく心 ※


深くない。
治癒のためでもない。

ただ、息を渡すみたいに。
短く、静かなキス。

相「……ほら」

もう一度、ゆっくり息を吸う。

の胸が、少しだけ、大きく上下した。

吐く、また、吸う。

繰り返すたびに、過剰に締め付けていた胸が、ほんの少しずつ、緩んでいく。
涙は、止まらない。

でも、息は——戻ってくる。

は、力が抜けたように、相澤に全体重を預けた。
相澤は、強く、強く抱き締める。

逃がさないように。
壊れないように。

相「……何も言わなくていい。泣いていい。…俺が、全部受け止める」

の喉から、ようやく声にならない嗚咽がこぼれた。

相澤の腕の中で、の呼吸は落ち着き始めていた。

浅く、細かった息が、少しずつ深さを取り戻す。

相澤は、離さない。
力いっぱい、壊れそうな身体を抱えたまま。

相「……戻ってきたな」

そう呟いた声は、自分自身に言い聞かせるみたいだった。

の肩の震えは、まだ止まらない。
でも、さっきまでの発作的な乱れはない。

大丈夫だ、落ち着いた。
そう、思った瞬間だった。

の身体から、ふっと、力が抜けた。

相「……?」

腕の中の重さが、変わる。

首が、だらりと相澤の肩にもたれ、支えがなければ、崩れ落ちそうになる。

相「……?」

呼びかけても、返事がない。
相澤の背中に、冷たいものが走る。

相「おい……」

の顔を覗き込む。

瞼は閉じられ、睫毛が、微かに震えるだけ。

呼吸は——ある。
でも、あまりにも、弱い。

相「…嘘だろ」

胸に耳を当てる。
——とくん、とくん。

確かに、鼓動はある。
なのに。

相「……やめろ」

声が、掠れた。

相「……行くな」

相澤は、の頬を包み、額を重ねる。

相「……頼む」

言葉が、喉で詰まる。
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