第52章 奪われた夜、青い炎 ※
人の波とフラッシュの光が渦を巻く大通り。
待ち合わせ場所のモニュメントの前で、ホークスは片手を軽く上げてファンに応じていた。
「ホークス!?なんでこんなとこいるの!?」
「うそっ、誰かと待ち合わせ!?」
「私服じゃん、やば!」
ホ「今プライベートだから〜。でも、ほら、写真ぐらいならね?」
そう言いながらも、サインも自撮りも軽やかにこなす。
いつもの笑顔。
いつもの軽さ。
……けれど、瞳の奥だけは違った。
――来るなよ、。
あの暗号の意味、気づいてくれたはず。
ここに現れたら、“連れてこい” という命令に従わなきゃならなくなる。
自分じゃなくて、が危険になる。
なのに。
「すみません、遅くなりました…」
その声が届いた瞬間、ホークスの手がほんのわずかに止まった。
けれど振り返る動きは、ヒーローとしての完璧な笑顔のまま。
人ごみを割るようにして現れたが、そこに立っていた。
ホ「……来てくれたんだ? いや〜、断られると思ってましたよ。ほら、忙しいだろうし」
ホ(なんで……)
必死に動揺を押し隠す。
「断りませんよ」
ふっと微笑んだ、その穏やかさに。
周囲が一斉に騒ぎ出した。
「え!?ホークスもしかしてデート!?」
「相手じゃん!てかかわい!?」
「これ熱愛確定!?」
スマホのカメラが一斉に向けられる。
ホークスはすぐにファンへ片目をつむり、口元に人差し指を当てる。
その仕草ひとつで、周囲の声が一気にとろけていく。
ホ「……ナイショ、ね?」
悲鳴。
昇天。
ファン撃沈。
そして、まるでその熱気からを攫うように、腰へそっと手を添えた。
ホ「じゃ、行きますか。捕まっててくださいね?」
「っわ…!」
次の瞬間、翼が広がり、市街地からふわりと浮かび上がる。