第51章 祝福の日、初めて知る幸せ
外へ出ると、冬の空気が頬を撫でる。
「ふぅ……寒いなぁ」
白い息が夜空へ溶けていく。
その時だった。
後ろから、ふわりと温もりに包まれる。
「っ……!焦凍?」
驚いて肩を震わせる。
轟はそのまま静かに言った。
轟「今日、本当に嬉しかった」
抱き締める腕に、少しだけ力が入る。
轟「おめでとうって言ってくれたことも、プレゼントも、最後の歌も。…全部」
はそっと笑った。
「うん」
優しく振り返ることなく答える。
「喜んでもらえて、良かった」
轟は小さく息を吐いた。
轟「ありがとう、」
その言葉と一緒に、そっと額を預ける。
その距離のまま、気付けば唇が首筋へ触れていた。
ほんの一瞬、触れるだけの小さな口づけ。
「っ……!」
思わず振り返る。
轟「……悪ぃ」
照れくさそうに笑う。
けれど、その表情に後悔はなかった。
ぽん、と優しく頭へ手を乗せる。
轟「…また明日な」
あまりにも穏やかで、幸せそうな笑顔だった。
それ以上、何も言えなくなる。
「…うん」
少し照れながら笑う。
「また明日ね」
その言葉を最後に、は歩き出した。
轟は、その後ろ姿が見えなくなるまで見送っていた。
部屋へ戻っても、布団に入って目を瞑っても、胸の奥は不思議なくらい温かいままだった。
から贈られたプレゼント、優しい歌声、「おめでとう」の言葉。
今日という一日は、そのすべてが宝物になった。
人生で初めて、心から幸せだと思える誕生日だった。