第47章 揺れる心、ほどける夜 ※微
そんなをホークスはまた抱きしめた。
ホ「ごめん……でも今日だけは……今日だけは反則させて。これ以上、何も言わない。何も奪わない。ただ……ほんの一秒だけ……。戻りたかった…」
は何も言えなかった。
その胸の奥に潜む影に気づいてしまったから。
ホークスが“何かを抱えている”。
口にできない理由を。
言ったら困る何かを。
そしてそれは——を守るために言わないのだと、薄く理解してしまったから。
ホークスは目を閉じ、苦い笑みを落とす。
ホ「俺といると……まで色が濁る。……やけん、距離、置かんとって……思ったっちゃけど」
そっと首筋に落ちる吐息。
ホ「無理やった。今日見た瞬間、全部壊れた」
抱きしめる力が、ほんの一瞬だけ強くなる。
けれどすぐに緩む。
離れたくない。
でも離れなきゃいけない。
その矛盾が、腕の震えに全部出ていた。
ホークスの声は、触れれば崩れそうなほど弱かった。
ホ「……誰を選んでもいい。でも……俺のこと、全部は忘れんでくれたら……それでいい」
好きとは言わない、言えない。
それなのに、その言葉の方が告白より重く刺さる。
扉の向こうでは世界が変わらず動いているのに、この部屋の影だけが、どうしようもなく苦しく絡んでいた。
やっとホークスの腕から離れ、は深く息を吸おうとする。
でも胸の奥は、熱く焼けるみたいに苦しい。
そのとき。
ポケットの中で、なにかがかすかに動いた。
「え……?」
次の瞬間、赤い羽根がひらりと空気に浮かび上がった。
ホークスが少し苦しげに、でも優しく笑う。
ホ「……気づいとったよ。近くに来ると、よく分かる。衣擦れも……鼓動も……全部」
羽根は音もなくホークスの方へ戻り、掌に落ちる。
ホークスはその羽根をそっと撫でた。
そして、揺れる瞳でを見る。
ホ「これ……まだ持っててくれたと?」