第2章 普 独白と恋煩いと
「なんだお前かよ」
邪魔するよーと言って入ると、目で「邪魔するなら帰れと」訴えられる。正直、あんたの目は綺麗だからどう見られたって構わない。
「あや、ルート君いないんだ」
「ベルリッツたちの散歩に行ったぜ。残念だったな」
こいつの可愛い可愛い弟くんに会いに来た…のではなく、私が会いに来たのはこいつ、ギルベルトに会うためだ。まあ、会うだけだが。
「カッカ怒んなヨ。うちらの仲だろ」
はぁとため息をつかれた。そりゃこんな幼馴染がいると嫌か。
私とギルはいつも隣にいた。横を見れば誰とつるんでるか、とか、誰と仲良しか、とか、大体わかった。生まれたての時は、私はこいつと一生一緒に生きていくのか、って思ったよ。
でも一緒なんてなかった。こいつ、成長が凄い。最初は病院だったのに公国になって、帝国作って。なにそれ。私なんかちっとも成長してないのに。体だって小さいままなのに。横に目をやると大人の姿をしたあんたがいて、それが嫌で、19世紀からの私は、いつも避けるように動いていた気がする。
今はそんなことないけど。
ギルを避けていく、そのうちに私はもうずっと西に来たようだ。
ロシアに潰された。いや、潰されに行ったのかもしれないけど。領土もなくなって民もロシアのもの。昔はこいつ泣き虫だったのに…みんな成長早いな
「君は成長遅いね」
腹立つな。私だって必死にやってるのに。
幸い、元国民たちは独立意識はあったので、私は体の形を保てた。独立なんてできやしないけど、可愛い奴らだなって思った。
「そういえば、ギルベルトくんが君のことで毎日僕に電話してくるんだよ。可笑しいよね」
それなりにイヴァン家に慣れてきた頃、そんなふうに言われた。おいおい、嘘こけ。あいつは自分のライヒのことで手がいっぱいなんだぞ。私なんかに構うなよ。
「私はお前に興味ないから連絡すんなって伝えてよ」
「いいの?」
「いいもなにも、あいつに構われても嬉しないしな」
わかったと言われ、その次からは連絡がなかったそう。少し安心した。そんなのしらねぇぜ!ケセセセー!とか言われたらブチ切れそう。まあ、もう関わることないと思うし。