第1章 辺 雪も溶ける
本田菊というのは、所謂この'国'である。化身とでも言おう。この世界にはそれぞれ国に化身がいる。
「お偉いさんやのに…」
「別に偉くなんてないだろう。電話越しに聞けば直ぐわかったぞ」
ん電話!
待って、電話番号知ってるの?化身のプライベートなことは国民でも知らないはず。外国の一般国民が?おかしくないか…?
「私はベラルーシの化身だぞ」
「け、けしん」
なるほどな、通りで…
それにしても目の前にいる美人が化身なんて……いや化身だから美人なのか?わからない……
「えと、なんでわざわざ家を訪ねてまで来たんですか…?」
「迎えに来たんだ」
最初も言ってたな…と思うと目の前に紙を出してきた。
「こんいんとどけ………え゛」
「〇〇、私と結婚しましょう」
頭が真っ白になる。あれこの人お兄ちゃん好きなんじゃなかったっけー………
「結婚、結婚しよう。」
結婚、という単語をつらつらと吐きながら迫ってくる。今にも押し倒されそう。
「おおお、お兄さんは?!」
「お前と結婚したい。」
あかーんそんな真っ直ぐ言われたらなんも言えへん。
どうして…
「わ、私いま中3で受験が」
「そんなのどうでもいい」
「おおお母さんに」
「邪魔なら殺そう」
「ヒョ………」
遂に押し倒されてしまった。冷たいタイルと彼女の体に挟まれる。
「金なら幾らでもある。何不自由ない暮らしをさせる。だから結婚しましょう」
「あ、え」
雪みたいな指に頬を触れられる。
うーん、どうしてこうなったんだろう…
そんなことをぐるぐる考えていたら、何か口に当たった気がした。