第4章 初めて
「おじゃまします…」
おばあさんの家へと入る。
古風の家で、何だか新鮮な感じだ。
「あの、本当にいいんですか?家に入れてもらっちゃって」
「あぁいいのよ。この家、私以外に誰もいないし」
と言うことは、ひとり暮らしか。
おばあさんはエプロンをして台所に立つ。
「お腹空いたろ、今作るから」
「そ、そんな、いいですよ!」
「いいから、久しぶりのお客さんで私も嬉しいんだよ」
そう言って料理を始めるおばあさん。
俺はその後ろ姿を眺めることしか出来なかった。
「ほら、お食べ」
目の前に出てきたのは、美味しそうな匂いを漂わせる野菜炒め。
俺は「いただきます」と言って、料理を口に運んだ。
「お、美味しい、美味しいです!」
こんなに美味しい野菜炒め初めて食べた。
それにごはんも進む。
その光景をおばあさんは嬉しそうに眺めていた。
「ん、おばあさんも食べないんですか?」
「私はいいよ、どんどん食べなさい」
そう言われ、おばあさんに見られながら完食。
本当に美味しかった。
手を合わせ「ごちそうさまでした」と言うと、おばあさんは嬉しそうに頷いた。
何だか、可愛らしいおばあさんだな。
「あ、そうだ。おばあさん、ここに電車って何時に来ますか?」
「電車?あぁ、それならもうここには止まらないよ」
「…………………え?」