• テキストサイズ

ツンデレ王子と腹黒王子

第4章 初めて


本当に何もない村だな。

結構歩いたはずなのに、ビルやマンションは一向に現れない。

時々後ろを振り向くが、野木が追いかけてくる気配はなかった。

民家とかないのかな、田んぼだらけ。

でも見晴らしはいいし、空気も美味しい。

とても、いいところだ。

もうしばらく歩いていると、田んぼで仕事をしている人がいた。

あの人、ここの人だよな。

何か分かるかもしれない。

俺はそう思い、その人に近づいた。


「あの、すいません」


仕事をしていた人がこちらを向く。

どうやらおばあさんのようで、俺はなるべく優しく声をかけた。


「ここら辺で、何処か隠れられる場所とかないですか?」

「隠れられる場所?」


直球すぎたか?

おばあさんは不思議そうな顔で俺を見ている。


「あんた、追われてるのかい?」

「えぇ、まぁ、そんなとこです」

「ここら辺に、隠れられる場所何てないよ、何もない村だからねぇ」


やっぱりか。

俺は肩を落とし、「ありがとうございました」とお辞儀して歩き出そうとした。


「あぁ待って」


おばあさんに呼び止められ、振り向く。


「もうお昼だし、うちに来なよ」
/ 132ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp