第1章 目覚め
翌日——
目覚めると、あずきが丸くなって寝ていて、パイロはまだ静かな寝息を立てていた。
体を起こすと、昨日よりもだいぶ楽になっている。
「お、起きたか。」
振り向くと、カイトが部屋の入り口に立っていた。その声で、パイロも目を覚ます。
「……おはよう。」
「食事だ。」
そう言って、カイトは皿をトレーに乗せて持ってくる。
「……ん?」
目の前に置かれたのは、見覚えのあるスープ。
(……まさか)
「ホーヨウ鳥のレバーシチューだ。」
「……え?」
「体にいい。出血が多かったんだから、造血作用のあるものを摂れ。」
昨日と同じ台詞だ。
「……れ、レバーはもう……」
「文句を言うな。」
しれっとそう言うカイト。
「ほら、食え。」
「あの……その……」
じっとスープを見つめる。
具材のレバーが堂々と姿を見せていて、昨日の悪夢が蘇る。
「ヒツキ、今日も頑張って食べようね!」
無邪気な声で応援するパイロ。
私は何も言えず、カイトに食べさせてもらった。
***
……そんな食事が続いた。
朝昼晩、出されるものは必ずレバー入り。
スープ、炒め物、煮込み料理……バリエーションはあるものの、すべてレバーが主役だった。
「……これ、本当に毎食……?」
「当然だ。」
「ヒツキ、大丈夫?なんか顔色悪いよ……」
(いや、それ多分レバーのせい……!!)
苦しみながらも、なんとか完食する日々。
そして——
***
「完治、だと……?」
私が目覚めてからちょうど一週間が経った頃、カイトが驚いた顔で呟いた。
「うん、もう痛くないし、動けるよ!」
私は軽くジャンプして木の枝に飛び移ったり、その場で走ったりしてみせた。
「……ありえない。」
カイトが腕を組み、難しい顔をする。
「その怪我は、普通なら1ヶ月は治らないはずだったんだが……」
「……もしかして、レバーのおかげ?」
私がそう言うと、カイトは「さあな」と首を振る。
「まあ、治ったなら問題ない。だが——」
カイトはそこで言葉を切り、じっと私を見つめる。
「……お前のその容姿と、何か関係があるのかもしれないな。」