第4章 episode4
episode26
私の知ってる"よかった"の意味で合ってる?
なんで?なんで良かったなの?
しれっとタバコを吸っているけど頭は大パニック
なんなら焦点がどこにもあってなくて目が回ってぶっ倒れそう。
ここは、何事もないように「良かったってどーゆーことですか?」って聞くのが正解?え?なに?
マスターの方に顔をやると、深くうなづいた。
マスターは人の気持ちを読み取ることが出来る個性。
漫画みたいに吹き出しが出て見えるらしい。
多分私の頭の上は凄いことになってると思う。
とりあえず大きくタバコを吸い、吐き出して落ち着かせる。
『よかったって…何がですか?』
「お前に彼氏がいなくて、だろ」
もっと意味がわからなくなってきた。
私だいぶ酔っ払ってるのかもしれない。
『ごめんマスター、私帰るわ。』
「あいよ。」
「…待て。すまな―――」
『待ちません。ちょっと私酔っ払いすぎちゃいました。すみません、また。』
私はそそくさとお金をカウンターに置いて店を後にした。
あの場にいたら訳分からなくて頭がパンクしてほんとに爆発しそうだった。
少し冷たい風が私の頬を掠める。
『意味わかんない…』
そう呟いて宛もなく歩こうとした時
ヴーッヴーッヴーッ
スマホが震える音がしてポケットから取り出すと
液晶画面には轟先輩の文字。
『もしもし』
「こんな時間にすまない。今何してる?」
『バーで飲んでて、酔っぱらっちゃったんで宛もなく散歩でもしようかと』
「何考えてんだこんな時間に。危ねぇだろ。どこにいんだ。」
『何考えてんだってー。私プロヒーローですよー?自分の身くらい自分で守りまーす!』
「とりあえず迎えに行くから場所教えろ。」
何だか電話口の轟先輩の声は少し怖かったから、大人しく今いる場所を伝えて、近くの公園で待つことにした。