第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
目の前にいるこの人が、私の頬を包み込みながら掛けてくれたこの言葉を、ただの“声援”として片付けてしまうのは勿体ないように思えたんだ。
だからと言って、“呪文”とか、“願掛け”とか。
そういうものとは、若干毛色が違うというか…上手く言えないけれど。
それよりも、そうだな。
どちらかといえば…
“ラッキーアイテム”。
ラッキーアイテムって、言い換えれば“Lucky charm”だろ?
んで、“Lucky charm”の直訳は…
“幸運のお守り”。
勝手な考察だけど、“おまじない”のポジションって、そっちの方が近い気がするんだ。
“運気を上げるための何か”、って言えばいいのだろうか?
だから、不意にその言葉をかけてもらった時…
「あなたたちなら、
優勝できるかもしれない」
私の中で、あの根拠のない自信が湧き上がってきたのは。
私に、“守り”が掛けられた合図だったんだ。
私に掛けられた、あの言葉…
「あなたたちなら、
優勝できるかもしれない」
それ自体が、“おまじない”の本質だったんだ。
“おまじない”と言うのは、“形のないラッキーアイテム”。
私に掛けられた、“幸運のお守り”。
そんな力とか強さを、目の前にいるこの人から、貰った気がした。
だから思ったんだ。
「私は、絶対に負けない」って。
その全てを…
私が抱いたすべての感情を。
目の前にいるこの先輩に伝えたくて…
私は、
『それしか無いっスよ』
そう言って、私を包むその両手に、手を重ねたんだ。