第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
「我らがエース様は
“試合が楽しすぎてしょうがない”と
言っておられまーす!!」
「きゃ~やっぱり~!!」
『お前もそこそこうるせぇーな!!』
今ここに、“事実”が誕生してしまった。
教授から預言者にジョブチェンジした、自称“エース信者”の発言により、准教授は預言者を真似るように両腕を高らかに上げた。
2人して同じポーズをとるあたり、絵だけ見たら宗教と勘違いしそうだ。
こういう人種がいるから、福音書とかが出来るんだろうな。
『だからそんなんじゃ』
「「 図星ぃ〜!! 」」
そんな状況に歯止めをかけようとしたら、すべて言い終える前に妨害されてしまった。
いいのかよ、お前らの敬愛する“エース様”ご本人の発言だぞ?
でも、分かっているんだ。
ここまで来てしまうと「もう何を言っても」という状況になる。
私がいくら弁解しようが、何を言い返そうが結果は変わらない。
むしろ、弁解しようとしてこちらが口を開こうとすれば。
相手は見逃すことなくそれに反応して、“結果”の信憑性を再宣告するんだ。
いかにも“女子中学生の反応”と言ったところだが、こちらが何を思おうがそれには勝てないんだ。
私にできることは1つ。
黙って事態の収束を待つことだ。
「大人になれ。大人になれ。」と念じて、紗恵の腕から解放されたことをせめてもの幸運と評して。
私は溜息交じりに、大小2つの人影から視線を逸らしたんだ。
“自分の気を紛らわす”分には、その対応は正解だったのかもしれない。
しかし、“馬鹿どもの相手をする”分には…
『ゔげ…!』
最悪の対応だったと、後悔することになった。