第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
首の付近に、巻き付くように感じたその重みに沿って、汗ばんだ身体に濡れたユニフォームの生地が張り付く感覚を覚えた。
その不快感にも似た感情を抱きながら、愛華に向けて下ろしていた視線を、横に移動させた。
するとその先には、さっきまではいなかった紗恵の顔が、超至近距離で見えた。
その時、後ろから紗恵に肩を組まれたとのだということを理解した。
一方、紗恵の方はというと。
私が肩を組むのをやめさせようとするよりも早く、
「なに〜?天。
もしかして少しワクワクしちゃってる感じ?」
…と、相変わらず人を小馬鹿にしたような顔で、ニヤニヤしながら聞いてくる。
あと、この際言わせてもらえば。
いつものことだけど、紗恵の笑い声は人一倍頭に響くんだ。
耳の近くで高らかに笑われて、これまで何度頭痛になったことか。
治療費請求してないのが不思議なくらいだ。
紗恵(こいつ)の面倒なところを上げていったらキリが無ぇ。
けれど、その中でも秀でて厄介なことと言ったら、まさにこういうタイミングで発揮してくるんだよな。
紗恵はこの手の話になると。
とにかく、しつこい。