第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
直前まで、“得点源”という理由で相手チームに徹底マークされて。
結果、オフェンスという1つの選択肢を捨てるにまで至ったんだ。
なのに、いくら愛華が仕込んだとは言え、スリーを決めただけでメンタルもフラストレーションも全回復だ。
ついさっきまで、極限まで追い込まれていた奴と同一人物とは思えねぇーな。
そんな史奈が、ある意味羨ましくなった。
…のと、同時に。
私の中でチラついた疑問が、短時間で頭の中を駆け巡った。
チラついた程度で、何のことはないのかもしれない。
だけど、一度気になってしまうと、どうしても突き止めたくなってしまうものなんだ。
視界の端を浮遊している“何か”が、虫なのか埃なのか。
はたまた自分の髪なのか。
本当はどれでも構わないはずなのに、その正体を突き止めなくては居ても立っても居られないのと同じように。
それに、考えるだけなら時間はそうかからない。
人間の脳は、超高性能のコンピュータでも敵わないほどなのだから。
だから私は、あることに関して考えていた。
いや…“振り返っていた”という方が、正しいのかもしれない。
思い起こさなければ、忘れてしまいそうになるそれを…それらを。
全ての始まりは、どこからだった?