第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
まずは1本目。
確実に。
試合時間の止まっている、この状況を味方に。
フリースローラインからゴールリングを狙う愛華は、膝を曲げて下半身に力を込めている。
両手で支えたボールを、顔の前に持ってきて…
全身の力をコントロールして、今出せる最大限の力を。
身体のバネに乗せて打ち出す。
両脚で地面を蹴ったそのパワーが、身体の上の方へと流れていく。
上半身、腕、掌、ボールへと。
力が伝わっていくのが、視認できそうだった。
そうやって力が乗り、愛華の手から放たれたボールは。
私が見上げた先で綺麗なアーチを描いて…
次の瞬間。
リングを潜って、ネットを揺らしていた。