第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
こうなることは予測できたはずなのに。
気付くのがあまりにも遅すぎた。
周囲を見ずとも分かる。
私も、紗恵も、詩織も、史奈も。
全員が相手選手1人のマークに入っている。
コート上の選手は10人。
各チーム5人。
私たち4人が、現状止められる相手選手は4人まで。
つまり…
残り1人…は…
知らず知らずのうちに、私たちは完全マンツーマンに持ち込まれてしまったんだ。
必然か偶然か、今となっては関係ない。
あるのは、“愛華が今もの凄く無防備”という結果だけ。
『愛華!待て!!』
そう言ったのと、ほぼ同時だったと思う。
ゴールに向かって右方向から攻めていた愛華が、リングの3歩ほど手前でシュート体制に入った。
右足を踏み出し、今にも左足でジャンプしてレイアップを決めようとした。
その時…
「ゔっ…!」
愛華が相手選手に妨害された…
ように見えた。
私の視界を駆け抜けた相手チームのキャプテンが、レイアップでシュートを決めようとする愛華を止めようと。
その進行方向に、横から割り込んだことで。
ジャンプをするその寸前…
脚をかけたように見えたんだ。
直後、愛華は上半身だけが不自然に前に進み。
そして完全にバランスを崩した。
外から加わった力に自由を奪われた左脚は、体勢を立て直すために踏ん張ることもできず。
愛華は、前転するように派手に転んだ。
ゴールに向かって押し上げられる予定だったボールは、それを支えていた手から零れ落ち。
手の本体は、ドカドカッ!!と音を立ててゴールの真下に倒れる。
その音に合わさるかのように。
私たち選手の視線はコートを転がる。
「『 愛華!! 』」