第2章 *恋心 feat.赤司
「わ、桜だぁ…!」
「ああ。綺麗だね。」
こうやって毎朝喋りながら登校するようになったのは、いつからだろう?
いつもたまたま通学路や登校時間が同じな赤司くんとは、自然と一緒に登校するようになっていた。
特に恋人というわけじゃない。
友達と呼べるかも分からない。
でも、この時間は楽しかった。
…正直、私が赤司くんのことをどう思ってるのかさえも分からない。
好き?友達?
それ以下ではないけど、でも、これは恋って呼ぶのかな?
確かにドキドキしたりはする。
でもそれは、あくまでも距離が近かったり撫でられたりって時だけで、恥ずかしいだけかもしれない。
でも、友達よりは少し特別で。
…親友も、何か違う。
そんなよく分からない気持ちのまま、私たちは洛山高校の新二年生となり、一週間が経った。
「…香奈、どうした?」
「えっ?私、何か変だった…?」
「悩んでるみたいに見えたからな。何かあったか?」
「え、えっと…じゃあ、一つ聞いてもいい?」
でも、まだ分からないなら…。
私は、自分を試す事にした。
「何だ?」
「あのね…赤司くんは、その…す、好きな人…いる?」
もしいるって言われて傷つけば、私は赤司くんが好きってことだと思う。
いないと言われても、安心してたら同じこと。
自分の気持ちと赤司くんの気持ち、両方が気になってドキドキする。
でも、もしこれが恋だったら?
そして赤司くんが好きな人がいると言ったら…自分の気持ちに気づけても、終わってしまう。
でも、やっぱり知りたい。
不安と好奇心が混ざって、頭がボーッとする。
二人とも立ち止まって、でも私は、自分が動いてないのかフラフラしてるのか、全然分からなかった。
「…好きな人、か。」
「う、うん。」
どうしよう。
赤司くんの気持ちが、分かってしまう。
今まで知りたかった事なのに、急に知るのが怖くなった。
「…いないよ」
「っ…そっか。あ、早く行かないと、遅刻しちゃうね。ごめんねっ!」
結局、私は自分の気持ちが分からなかった。
だって、赤司くんに好きな人がいないって聞いた時、
…辛かったから。