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【進撃の巨人】自由の翼【R18】

第1章 プロローグ


わたしに気づいたエレンが振り返り、声を絞り出すように叫んだ。

「サクラ!!サクラも手伝ってくれ! 俺の母さんが!!」

その声には、焦りと絶望が滲んでいた。視線の先には、崩れた家の下敷きになって身動きが取れないエレンの母であるカルラの姿があった。

「わかった!」

慌てて、手に持っていた荷物を放り出し、エレンとミカサと一緒に瓦礫を持ち上げようと力を振り絞る。しかし、瓦礫は重く、びくともしない。

「エレン、ミカサ、そしてサクラも……すぐに逃げなさい……!」

カルラの声は震えていた。近づく巨人の存在に気づいているのだろう。それでも、わたし達を心配して逃がそうとする優しさが、その言葉に込められていた。

「嫌だ! 逃げない! 母さんを助けるんだ!」

エレンは必死に叫び、力任せに瓦礫を押し続ける。わたしも怖くて全身が震えるが、手を止めることなど考えられなかった。しかし、巨人の影が次第に大きくなるのを肌で感じる。

――このままじゃ、間に合わない……!

心臓が激しく鼓動し、冷たい汗が背中を伝う。それでも震える手で必死に瓦礫を押し上げる。

その時だった。

駐屯兵団の制服を着ているハンネスが現れた。酔っ払ったような印象しかない彼が、今はまるで別人のように真剣な表情をしている。

ハンネスは鋭い目で巨人を見据え、そのまま巨人の元へ走り出す。巨人と戦うつもりなのだろうか。戦って、勝つことなんてできるのだろうか。

「待って!戦ってはだめ!!子供達を連れて逃げて!」

カルラは叫び声をあげる。

「見くびってもらっちゃ困るぜカルラ!!」

ハンネスはそう言ったが、巨人を前にしてぴたりと足が止まる。
踵を返し、こちらへと戻ってきた。
そして、瓦礫から手を離そうとしないミカサと、エレンを両脇に抱え、わたしに「全力で走れ」と言うと、カルラを置いて巨人とは逆の方へ走り出した。


でも、そしたら、エレンのお母さんが――。

このまま去ることに躊躇してしまう。
カルラと目が合うと、カルラは微笑んだ。

「サクラもはやく行って」

その一言に背中を押され走り出す。

背後から「行かないで」という声が聞こえた気がした。
その言葉に胸が突き刺されるような痛みを感じた。
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