第1章 プロローグ
イェーガー先生の家を目指して走っていると、突然
「ドーーーン!」
という耳をつんざくような大きな音が響いた。音の方向は、まさにイェーガー先生の家の方角だった。周囲の人々も驚き、ざわめき始めている。何が起きたのか、誰も状況を掴めていないようだ。
胸の奥がざわつき、不安が押し寄せてくる。
――嫌な予感がする。
恐怖を振り払うように、さらに足を速めた。汗が額を伝い、心臓が苦しいほど早く鼓動している。それでも足を止めるわけにはいかなかった。
音が聞こえた方向へ近づくにつれて、周囲はどんどん騒がしくなっていく。悲鳴をあげながら、逆方向に逃げていく中年の男性とすれ違った。その顔には恐怖が張り付いていた。
――何が起きているの?
額の汗が嫌な感触で滲み、喉が乾く。心の中に膨らむ不安を振り切るように、必死に走り続けた。
そして、ついに目的地へたどり着く。だが、そこで目にした光景に、言葉を失った。
「エレン!! ミカサ!!」
二人はわたしの呼びかけに反応することなく、ただ立ち尽くしている。
混乱する頭で、震える足を前に進める。エレンとミカサに近づくと、彼らの目の先にあるものが視界に入った。
それは――
イェーガー先生の家が、跡形もなく崩れ落ちている。そして、その奥の方には見たこともない巨大な生き物が家を破壊し歩いていた。
――これが巨人?
初めて目にする巨人の姿に、嫌悪感と恐怖が胸を締め付ける。目の前にいるそれは人間の形をしているものの、どこか異様で、まるで悪夢の中の怪物のようだった。
怖い――。