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美しき銀の刃

第3章 己の中の魂


すぐに山崎が切られている腹の手当てをした。

そんなに深くまでいっていなかったようで、一応安心した。

すると、山崎が目を覚ます。

「おい、山崎、大丈夫か?!」
「あれ………?副長?……っつ!」

腹の痛みに気づいたのか、苦しそうな顔をする。

「おい……何が「山崎!!」

いきなり部屋に入ってきて、俺の言葉をさえぎる奴なんて、一人しかいねえ。

「おい、総悟!山崎は今俺と話してんだよ!」
「………山崎、姉さんはどうした。」

山崎の顔が青くなっていくのがわかる。

「……あいつに何かあったのか。」
「副長…隊長…それが………。」

山崎は、自分が見、そしてやられたことを全て話した。

総悟は怒りをあらわにしている。

「………お前、なんで助けなかったんでい。」
「俺は武器持ってませんでしたし……。」

沈黙。

しばらくして近藤さんが口を開いた。

「………とにかく、奴らは『泥沼党』なんだろ?トシ、お前確かそこのアジトつかんでたよな?」
「ああ、港にある。」
「じゃあ、行くぞ。」

近藤さんは立ち上がる。

「あの……俺も。」
「山崎は、自分のケガの治療を優先しろ。……総悟、お前、大丈夫か?」
「………………まさあ………。」

誰も今の声は聞き取れなかったらしい。いや、俺だけに聞こえるように言ったのかもしれない。

『殺してやりまさあ。』

総悟は間違いなくこう言ったが、そんなのは殺気だけで充分わかる。

「………行くか。」

俺達は屯所を後にした。
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