【ヒロアカ】change the truth【R18】
第5章 個性
佐倉は過呼吸のように、息が上がり、涙をこぼしはじめる。小刻みに震える肩。
だが、それだけではなかった。佐倉の体から、何か見えない力が溢れ出しているように感じる。
――個性が暴走し始めている。
目覚めたばかりなのに、こんな状態で個性が暴走したら、こいつ自身が危険だ。
「おい!しっかりしろ!」
肩を支え、必死に声をかけたが、佐倉には届いていないようだった。
視線は彷徨い、焦点が合っていない。
「俺の目を見ろ!!」
さらに強く呼びかけるが、反応は薄い。佐倉は涙をぽろぽろとこぼし、息苦しそうにしている。
そんな彼女の姿を見て、俺は……。
気づけば唇を重ねていた。
「……んっ…」
個性を使えば、佐倉の暴走をすぐに止めることができた。
だが、そうしなかった俺は教師失格だ。
――どうかしている。
こいつの脳内を俺で満たしたい、俺だけを考えさせたい。
そんな支配欲に突き動かされていた。
「っぁ……」
徐々に佐倉の呼吸が落ち着いていくのがわかった。
唇を離すと、佐倉と目が合った。
瞳はとろんと溶け、俺の顔が映っている。
俺は冷静さを取り戻し、個性を発動して個性の暴走を止めた。
ようやく、静けさが病室に戻ってくる。
佐倉の肩はまだ震えているが、少しずつ正気を取り戻しているようだった。
後悔と戸惑いが胸に渦巻く。
だが、その一方で、俺は自分の中の感情が確かに抑えられなくなりつつあることを悟っていた。
佐倉は何も言わず、ただ俺を見つめていた――その頬が赤く染まっているのを見て、さらに罪悪感と別の感情が胸を占めた。