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君と悪循環を抜けるために私にできること

第8章 夕食の問答


非常に癪だが夜梟の料理はアレックスの舌に合っている。これも憑依されていた影響かそれとも未来の経験か。夜梟が特にアレックスに感想を求めないのも気に食わない。
アレックス、と心を読んだように夜梟が口を開いた。
『君は白いスーツの野狗子がDDだと思うか?』
「DD?」
そのイニシャルに覚えはある。目の前の女の記憶の残滓だ。先のない彼女らに一縷の希望という名のパンドラボックスを開けさせた、別の世界の人物。
「……否定する証拠も肯定する証拠もない」
『そうだな……DDであればループも容易かと考えたのだが、君に固執する理由が浮かばない』
お前と同じだな、と言いかけてアレックスは箸を止める。
夜梟が繰り返すループの中で変質したアレックスに未来を見出だしたのであれば同じことがDDとやらに起こっても不思議ではない。
アレックスにか、夜梟にか、未来にか。
封印した今、その真意を聞き出すことはできない。簡単に解除されないよう、こちらからも刺激はできないのだ。
「お前は、DDとやらのことが気になるのか」
『それは……そうだな、奴には不可解な面が多すぎる』
何しろ黒幕と言っても過言ではない。
それでも、今集中すべきは目の前の俺ではないのか?鴨のローストと共に飲み込んでアレックスはやはり酒がいると立ち上がった。
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