第5章 ナンパ
今日は祝日ということで洋服を買いに来た。クローゼットの中にはお世辞にもかわいいと言える服はなく、転生前の私はオシャレに興味がなかったようだ。
顔も前世の私よりかわいいし、髪質も良いのにもったいないなー、と思っていると突然声をかけられた。
「お姉さん今1人?」
ナンパか、これでも中身は大学生だし適当に流して逃げよう
『すみませんこれから彼氏と待ち合わせなんです』
「え、彼氏?じゃあ彼氏来るまで遊ぼうよ!」
意外としつこい男にうんざりして無視を決めたところ、おい無視してんじゃねーよと強く腕を引っ張られた。
すると、私の前に長身のパーカーのフードを被った男性が現れた。
「おい、てめぇ誰の女に手出してんだよ」
『えっ?』
合わせろと小声で話しかけてくる彼に頷くと、男は彼氏来てんなら早く言えよな…と呟きどこかへ行ってしまった。
助けてくれた男性に聞いたことある声だな…と思ったのと同時に彼はフードから顔を出した。
「大丈夫だったか?」
『えっ、あっ!大丈夫です!』
私は思わずその場から走り出してしまった。
なぜなら彼が青峰大輝だったから。
『あ、お礼言いそびれた…』