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【暇潰し】R18/Short Story【進撃】

第4章 VI * アルミン・アルレルト


パレードの主役であろう、出会ったばかりのこの人達が何をしているのかは一切知らない。
けれど命の恩人が罵詈雑言を浴びせられるのは、到底気分の良いものでは無かった。

道を囲む人達の顔を目に映す。
向けられているのは嫌悪、憎悪、厭悪と、負の感情ばかりだ。
が生きてきた22年の人生の中で、こんな悪意を向けられた経験はない。
酷く吐き気を誘うものだった。

両耳を抑えてうずくまった。
早く通り過ぎて欲しいと、心から願った。

ずいぶん長い時間に感じたけれど、うずくまっているうちに辺りはすっかり静けさを取り戻していた。
馬の蹄鉄に荷車の音、緊張がとけて全身が脱力感に襲われた。

「驚いたでしょ」

声をかけてきたのは、矢継ぎ早に質問をしてきた分隊長だった。

『…そうですね。あれ程に他人からの憎悪をぶつけられたのははじめてです…』
「そうか、ごめんね」
『いえ、分隊長さんが悪いわけでは…』
「初めて見た?」
『はい』
「そうかそうか…壁の中の人ではないんだね?」
『え?』
「どこから来たんだろうね?気にるなぁ!」

気のせいか、分隊長の瞳は爛々と輝いているように見えた。
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