第6章 ばぶみを感じたら要注意!
そう言えば、こうやって膝枕しているのも霊力供給になっているんだろうか。出汁風呂よりはマシな気はするが。長谷部が目を瞑っているのを良いことに、頭のてっぺんからつま先まで観察する。
――やはり細い。霊力は少しずつ彼ら刀剣男子に注がれているはずだが、まだまだ全盛期の様な逞しさはない。
何か健全かつ安全な方法はないだろうか。
「う~ん……」
「如何なさいました、主?」
「いやぁ、審神者として私に出来る事って何だろうな~って思って」
「何を仰いますか、主!」
長谷部は勢いよく起き上がり、朔夜の目をじっと見つめた。
「主は今のままでも、十分に尽力しています」
「そうかぁ?」
「ええ、もちろんです。俺は主がこの本丸に戻って来て下さっただけで満足です」
「ありがとう。私もね、また長谷部に会えてうれしいよ」
「ほ、本当ですか主!?」
「うん、って言うか、長谷部だけは絶対この本丸に残ってくれてるだろうな~って信じてた……し……?」
それはあまりに突然で、気が付いたら長谷部の腕の中にいた。ごつごつと少し骨ばった感触だったが、嫌だという感情は湧かなかった。
ただ、長谷部の抱えていた淋しさの様なものが、少しだけ伝わってきた気がして、朔夜はそっと長谷部の背中に手を回した。
* * *
「ただいまー、つーかーれーたー」
「帰ったぜ、大将」
「お帰り~、みんな!」
食材調達班の4人が帰ってくると、玄関口で待っていた朔夜は一人一人に、ぎゅーっとお帰りのハグをした。
「あるじさま、なにかいいことでもあったんですか?」
「いや、これからこれを、我が本丸の習慣にしようと思って」
あの後、長谷部は突然抱き付いた事を深く詫びていた。だけど、いつ帰ってくるか分からない主を信じて、じっと待っていたその忠義に、私は報いたいと思った。
ただ一つ、疑問が残る。それは――
「ねえ、男ってさ、膝枕してもらえるのって凄く嬉しい事なの?」
「え?なんでそんなこと聞くの?」
「いや、長谷部に膝枕してあげたら、突然抱きしめられてさぁ~」
「あああああるじ!!!その事は御内密にいいいいぃぃぃ!!!」
忠義の有無は分かっても、男心はまだまだ分からない……と言うか、半分わかった上であえて聞いているド外道審神者の朔夜であった。