第6章 ばぶみを感じたら要注意!
「いってらっしゃ~い」
――季節は冬。今日も朝から雪がチラついている中、朔夜は食料調達班を見送った。
今日のお留守番相手は長谷部だ。さあ、長谷部相手に何をして時間を過ごそうか。そんな事を考えていたら、長谷部の方から話を振られた。
「主、俺はこれから仕事がありますので。申し訳ありませんが、調達班が帰ってくるまで御一人で待っていてもらってもかまいませんか?」
「ん?うん。それは良いけど、長谷部の仕事って何?」
「政府への報告書を書くんです。もうすぐ月末ですからね」
「そっかー、政府への報告書ねー……」
その単語を聞いた途端、朔夜の全血液が、サーっと足元まで下がっていった。政府への報告書って、確か以前は私がやっていた仕事じゃありませんか!?
「はせっ……長谷部!!もしかしてその報告書って、私が書かなきゃいけないヤツじゃない!?」
「以前はそうでしたが、主がいなくなってからは、俺の仕事になっていますから。お気になさらず」
そう言って、長谷部はさわやかに笑った。
痛い、痛い痛い痛いよ、その笑顔が痛いよ。またしてもここにきて『本丸をほったらかしにした審神者』という傷を笑顔でえぐられたよ。でも多分長谷部には悪気はないんだろうなー……ちくしょう!
「長谷部マジで休んで。その仕事、私がやるから」
「いえいえお気になさらず、主の方こそお休みください。つい先日倒れたばかりではないですか」
「いや、あれは倒れたって言っても、霊力のオーバーフローだから……」
「それに報告書と言っても、殆ど書く事なんてないんですよ。今は時間遡行軍とも戦っていないですし、唯一あるとすれば、主がこの本丸に帰って来て下さった事くらいですから」
はい来た、いま来た、来ましたよー。この長谷部の自覚のないボディーブロー。
遠回しに責められているような気がするのは私だけだろうか。いや、長谷部に悪気はないんだ、そうなんだ……と、思いたい。
「じゃあ長谷部、こうしよう!長谷部はお仕事してていいから、代わりに今日1日、私が長谷部のお願いをかなえちゃう!」
「きょ、今日1日ですか?」
「うん、何でも言って良いよ!さあ、カモン!!」
「それでは……報告書が書き終わったら、その……少しの間、膝枕をしていただけますか?」