第2章 ☪︎○○しないと出られない部屋 in赤葦京治
赤葦「獅音さん、起きて下さい」
トントン、と優しく肩を叩かれ、ゆっくりと意識が浮上する。最初に視界に映った京治は、「大丈夫ですか?」と心配そうに眉をひそめている。
……大丈夫ってなにが。
ぼんやりとした頭でそんな事を思いながら、辺りを見渡す。視界に入るもの全てが、シミひとつ無い真っ白。そこで漸く、ここが自宅でも京治の部屋でも無い事に気が付いて、一気に覚醒した。
「んだここ……」
赤葦「分かりません。俺もついさっき目が覚めたので…」
目がクラクラする程の白い空間に、今オレ達が寝かされている大きなベットと、収納棚、モニターが置いてある。唯一出られそうな扉は、鍵がかかっているらしく、ビクともしない。外からの物音も一切しなくて、恐らく防音設備がしっかりしてるのだろう。
そもそもオレ達はなんで、こんな訳の分からない部屋に居るんだ。今日は部活も学校も休みで、昼頃に京治と出掛ける予定だった。セットしたアラームは鳴っていなかったはず。それならまだ朝で、寝ている。
「夢?」
赤葦「それにしては、意識や感覚がハッキリし過ぎてる気がしますけど…」
「だよな」
寝てる間に誘拐されたか。いや。だとしたら、家族が起きてくる。ならなんなんだ。誰かこの状況を説明してくれ。ついでに出せやくそが。
段々苛立ちの方が勝ってきた。その時、ずっと真っ暗だったモニターに電源が入り、文字が映し出された。
【潮吹きするまで出られない部屋】
ドッキリの種明かしのような文字。それを見た瞬間、オレと赤葦の「は?」という声がシンクロして、部屋の中に吸い込まれた。