• テキストサイズ

~たゆたううたかた~【禪院直哉/R-18/短編集】

第1章 気まぐれ 【禪院直哉】



『なんにもおかしい所なんて
あらへんって。お休みしたからって
桜ちゃんは咎められへんし。
澪ちゃんは…桜ちゃんの
看病に専念できるし、俺は
ふたりからの好感度も上がるし?
ええ事尽くしやんか?そんな怖い顔
して…睨まんといてって…。
まぁ俺も…明日と明後日仕事あらへんし
俺は俺でちゃんと
ゆっくり過ごす時間取れるやん?』

自分の嫁候補でありながら、
そうなる事に全く執着も
努力もしない私と3日間を
過ごすつもりで居るらしい…。

『もうちょっと…一緒に
過ごす時間増やしたら、
ちゃんも
俺にデレて来るかもしれんへんし』

「全員の好感度…
上げて…どうするんですか?」

お試し期間として当番で
相手をさせて、その中から
嫁を選ぶって言うならまだしも…。

『ええやん、そうなったら
そうなった時やって…
って事やから…明日一緒に
俺とお出掛けしょーや。
前から1回行ってみたかった
思っとった所があるんやって…。
って訳やから、付き合ってな?』

「…………畏まり…ました」

不本意ではあるが…、
これで私が断わる事で
澪さんと桜さんにお咎めの
矛先が向いてしまっては申し訳ないので。

その気まぐれの様な提案に
はしぶしぶながらに同意した。

『ちゅー訳やから…寝よか』

「あの…お当番のお仕事は…」

『ええやん、明日も明後日も
火曜日なんやから…、
明日の火曜日にしようや…』

この…禪院直哉と言う人は
気まぐれな感じで物事を決めるので。
明日の火曜日にするから
今日はしないと言って。
そのままその夜は…寝るだけの
そんな夜を過ごしたのだが…。

そして…こんな朝の早い時間から
出掛けるから起きろと起こされて。
朝ご飯もモーニングを食べるからと
支度だけを整えさせられて。
直哉がこれを着ろと用意した小紋に着替えた。

車に乗せられて連れて来られたのは
イノダコーヒ本店で。
京都の中心地にそのお店はある。
この本店は、本館とメモリアル館の
2つの建物を合わせて211席の
座席数を有している喫茶店だ。






/ 136ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp