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~たゆたううたかた~【禪院直哉/R-18/短編集】

第1章 気まぐれ 【禪院直哉】



はしたない喘ぎ声を
部屋の中に響かせてしまって
感じるままの快感に酔いしれる。

気持ち良くなってしまうほどに
頭の芯がぼんやりとして、
朦朧とした頭では思考も纏まらない。

自分に…快感を…
絶頂を何度も与えてくれる
この人の事が…直哉様の事が…
自分は好き…なんじゃないかって。

そんな勘違いを……当番の夜が
来る度に…は
何度も…思ってしまっては。
思い浮かぶその考えを否定する。

「んはあぁああんんっ
あっ、ああぁあん…んあぁあっ…!」

私は…5人の中の1人
今こうして私を
連れ回してるのも…単なる
気まぐれでしか無いのだから…。

自分は…特別なんじゃないかって
他の4人とは違うんじゃないかって
そんな…淡い期待を…抱くだけ…、
無駄なんだと…勘違いを
募らせる自分に言い聞かせる。

そんな事しか…考えられないなら
もう…何も…考えたくもない…。

「んぁぁっ…んぅ、もっと…
もっと…突いて…?…滅茶苦茶にして…?」

何も私が考えられなくなる位に、
快楽に埋もれて溺れて
沈んでしまいたい…。
快感しかわからなくなって
誰とそうしてるのかも…私が
分からなくなる位に………。

『俺で…もっと
滅茶苦茶にされたいんかいな?
それとも、俺に…もっと
滅茶苦茶にされたいんかいな?』

もう…滅茶苦茶に…
なってしまってる様な…
そんな気もしてまって…。

『もっと…素直になったら…
俺も…自分の事、素直に
可愛がったげられんねんけどなぁ…』

「……―――ッ!!」

『…ここまで言わせても
どうせ、素直になれんのや…ろ?
俺もバカちゃうし…何も
興味も無い様などうでもええもん
側に置いとく趣味は…無いんやで?』

「……―――る…い…ッ…」

ギュウウとベッドのシーツを
が握りしめて
恨めしそうにそう漏らした。

前半の言葉は途切れて
聞き取れなかったが
大凡…狡いとかそんな類の事だろう。

『そんな事…知っとるやろ?
俺が…そんな男や…言う事位。
好きに…言うて…くれんなぁ…、
それもこれもみんなぁ、
自分が俺に素直やないからやで?
まぁ…ええわ…、付き合うたるやん』

「は…?付き合うって…?」

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