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つよがり いいわけ かわいい子【HQ】

第4章 つよがり いいわけ あやうい子



抱きしめられた体がふわりと宙に浮かぶ。
驚く間もないまま寝室に連れて行かれるとベッドに体を下ろされる。
覆い被さるようにベッドに乗り上げた夜久は、着ていたジャケットを脱ぐと煩わしそうにネクタイを緩める。
早く触れ合いたくて夜久のシャツに手を伸ばし下からボタンを外していけば、中間でお互いの手が触れた。夜久が私に譲るように手を離しスラックスのベルトを外している。
手持ち無沙汰になってしまった私。時間がないまま必死に探し当てたシャツワンピースのボタンを外そうとすれば、洋服に手をかけた左の手を掬われ薬指の根元に唇が押し当てられた。

「俺の仕事取るんじゃねえよ。」
「いいじゃない、会えなかった分早く触れたいし。」
「俺のこと恋しかったんじゃねえの。感動の再会で泣いちゃったもんな。」
「………………会いたかったし。」

ぽそりと呟いた言葉にボタンをはずしていた指の動きが止まる。恥ずかしげに伏せていた目を貴方に向けると惚けた瞳がこちらを凝視し、笑む。

「泣かせる。」

物騒な物言いの中の甘さに思わず笑みを溢すと、お手柔らかにと返事を返しながら項に腕を絡めたのだった。


ーーーー


衣擦れの音にふと目を覚ます。体に乗る重みといつもと違う天井にここはホテルだということを思い出す。
先ほどまでの行為のせいか喉に違和感を覚え枕元に手を伸ばすが、手に触れるのは避妊具の空き箱とそれが収まっていたパッケージのみ。
そりゃあ黒尾に何か言われるわけだ。タワーのように積まれた箱に私も驚いてしまったから。

時差や会見の緊張でぐっすりの夜久の腕から抜け出して目指したのは冷蔵庫。流石にミネラルウォーターくらいはあるだろうと確認すれば残り1本。
明日の朝に数本頼まなきゃなと考えながら蓋を開ければキャップと指の間に違和感を感じて手のひらを見る。
それが違和感などではないと分かると、まじまじと薬指を見つめてしまう。

いつの間に用意したのだろう。
アクセサリーを身につけるならシンプルなものがいいと言ったのを覚えてくれていたようだ。それにゴールドよりシルバーの方が肌馴染みがいいと伝えたことも。

指にはまるシルバーの指輪。中心に小さな石が埋め込まれた細身のシンプルなものを空にかざせば、空に輝く月の光に照らされそれはきらりと輝いた。

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