第12章 11
しかし結局快斗はライブに行くことは出来なかった
病院
「安静にしててくださいね」
看護師さんに厳しく言われ(わぁってるよ!)と不貞腐れる快斗
「ほんっとに」
「うげっ?!ゆり。お見舞いご苦労様」
見舞いに行くと足と顔にぐるぐる包帯が巻かれている快斗を見て呆れ顔になる
私にやべーって焦りの顔をするから無視した
「で?快斗。私に言うことはあるかな?」
ニコニコ笑顔で包帯が巻かれている方の足をつんつんするとその度に、(うぎゃ?!)と言うがやめるつもりはない
「いーのよ?多分。売り言葉に買い言葉だったんだよね?」
そう言うと快斗は許してくれた?とばかりに安堵する
「でもね、ママから言われたんだけど。こう言うのは。最初が肝心なんだって」
「最初?」
「そう。最初。快斗と私は付き合ったばかりでしょ?だから。私はこれを許したら快斗はどんどんつけ上がるんじゃないかって」
そう言って久々に以前恒例の人差し指を渾身の一撃で脇腹に突き刺した
(んぎゃー!!)と叫ぶ快斗
「怪我した場所にやられないだけ感謝してよね」
「は、はひ(はい)ごべんなざい(ごめんなさい)」
「治ったら、不安にさせたお詫びちゃーんと用意してよね」
そう言ってそっぽ向くとギュッと手を握られて思わず許してしまいそうになる
惚れた弱みってやつなのかなと思いながら握られてない方の手で包帯の足をつんつんしてやった
fin11