第11章 10
「ごめんね。さっき。つい部屋にいる事忘れてて」
快斗を部屋に押し込んだ後、ラブラブしてる両親を尻目にコーヒーセットを取りに行き部屋に戻ってそう言ったら(まぁ、別にいーけどよ)とドサっと座る
フーフーと冷ましてるのを見てフッと笑う快斗
「あ!そうだ!」
まだ一口も飲めてないコーヒーをテーブルに置き快斗に向き直る
「あの、、さっき言ってたチョコレートだけど「チョコレートってこれのことか?」」
渡そうと思っていたチョコレートをさっとどこからか出す快斗
「あ!」
「わりぃーな。先に盗っちまって」
ニシシッと笑いながら包装を解きチョコレートをひとつまみ
「うん。ちょっとビターで甘すぎなくてうめぇよ」
美味しそうに食べる快斗を見てホッとした
「………良かった。今日も無事に帰ってきてくれて」
コーヒーに手を伸ばしゆっくり口に含むがまだ熱くてフーフーする
「ゆりと雪のおかげだな」
「え?」
「ゆりのデケェー声と雪が魔法陣を消してくれたおかげだよ。サンキュー」
ヘラっと笑う快斗は私の頭を撫でる
さっき我慢していた感情がぶり返してきてコーヒーをテーブルに置いて快斗に抱きつく
「おかえり。快斗」
「ただいま」
抱きしめ返してくれる快斗
そのままキスしたいな
そう思った時にはもうされてて
優しく何度も離れては触れてを繰り返す
「ん……ふ、あ。」
時々漏れてしまう声に余計ドキドキしてしまう
そして、ゆっくり離れた時にはボーと快斗を眺める事しかできなかった
「//////……わりぃー。とめらんなかった///」
照れくさそうに言う快斗に顔を埋めギュッとする
「嬉しかったから///…いいの」
(ん)と返事をして抱きしめ返してくれる快斗
この先どんな展開になるのか全然わからない
前世の記憶とは違う道を進んでいる
そうわかってからは自分は登場人物ではなく、今生きてる人間なんだと理解した
記憶もはっきりした内容も曖昧になってきていて
助けられる術は限りなく少ないかもしれないけど
それでも私は快斗と歩む道を決めたから
本能に従う
ママが言ってくれたことを糧に
fin10