第8章 8
「ただいま〜」
「あらお帰りなさい!もっと遅くなるかと思った」
ニコニコそんな事を言うママに、こら!とわざと言う
「あ、ママ?ちょっとお願いなんだけど」
「なーに?」
「もし快斗がね、、その…家に来たら私が居てもいなくても家にあげないでくれるかな?」
「快斗くんと喧嘩でもした?」
心配そうに見つめてくるのはおそらく私が昔から快斗が好きなことを知っているから
「まぁそんなとこ、かな?」
曖昧に苦笑いする私にママは(隣においで)と座っているソファに誘導するので素直に従った
座ると肩に手を回して軽く抱きしめられる
「ママはね。ゆりの恋愛全部応援してあげたいの。、、、きっとゆりは他の子達より少し心の中が大人だから。色々考えちゃうと思うけど。時には本能に従う事も大事よ?」
(違う悩み事だったらごめんね?)と付け足すママに、ありがとう。と微笑んだ
本能に従う、か
私にそんな事できるのかな
それから私はすぐにまた光くんの会社からの依頼で作業に追われていた
バイトも少しお休みをもらい朝早くに家を出て、夜はギリギリの時間まで
快斗と鉢合わせする事もなく平和な日常を送れていた
怪盗キッドはその後次々予告状を出してしっかり手柄をあげている
4度目の予告通りにまたしても怪盗キッドに盗まれた!!という話題を作業場で聞きながら最後の仕上げに入った