第5章 眠れぬ夜が明けて
「もうすぐかな?」
俺は時計を見た
正直言っておーのくんにニノの身代わりになるとか言われた時はむちゃくちゃ驚いたけど
凄く嬉しかった
(おーのくんは本当に優しいなぁ)
おーのくんは自己犠牲の精神の塊みたいな人だ
だから意気込んで身代わり宣言をするおーのくんを、複雑な顔して見詰める櫻井くんの気持ちは、痛いほど良く解る
(そりゃ、心配だよねぇ)
でも、申し訳ないとは思ったんだけど
俺はその提案を甘んじて受ける事にした
ちょっと帰って来たからって、すぐに戻ってしまうから根本的な解決にはならないのは俺にだって解っている
それでも、少しの間でも良いから逢いたかった
…ニノを、抱きしめたかった
「…まだかな」
ガチャガチャ
(…あっ!!)
カギを開ける音がして俺は玄関にすっ飛んで行った
同時にドアが開いて待ちに待った想い人が飛び込んで来た
「雅紀!」
「ニノっ!!」
俺は力いっぱい愛しい恋人を抱きしめた
「まさ、き…ま…///」
「ニノ、逢いたかったよ…ニノ…」
抱きしめたまま顔を覗き込むと、涙で濡れた瞳と目が合った
泣いているのが恥ずかしかったのか、ニノが逸らした眼を伏せる
俺はその濡れた瞼にキスをした
「…おかえり」
「ぅん…た、だいま///」
珍しく涙声を詰まらせる姿が愛しすぎて、俺はニノを横抱きにして抱えた
「うわっ!///」
「…いいでしょ?」
「……良くない訳ないだろ、バカ////」
何時もの憎まれ口に胸が熱くなる
俺の可愛い天邪鬼をしっかり抱いて俺は寝室へ向かった