第2章 小豆娘
見守られている感が半端なかったが、もう何も気にせず箸を進める。
そうすると、不思議とここが二人だけの空間になったような気がして、落ち着いて食べる事が出来た。
が話す事も気が散らずにちゃんと耳に入って来るし、とても楽しい時間に感じる。
もそうだといいと思った。
だが、俺は食べながら話が出来ない。
伝える間もなく食べ始めてしまった。
それでもそれが分かると、は俺に呆れることなく、「出来る時だけお返事でいいですよ」と言ってくれた。
俺がこんなだから楽しくないと思われてしまうかと思ったのだが、そんな様子も見られないので少しホッとした。
勘定の時にここの女将さんがやって来た。
今日のお代はいいとのこと。
そういうわけにはいかないと伝えたのだが、「昨日うちの柚葉が助けて頂いた御礼です」と言われる。
大した事はしていないのだが…
しかし「どうしても!」と女将の圧に押され、では…とそのご厚意に甘えることにした。
だがただ食べて帰るだけというのも気が引けるので、「また寄らせてもらう」と伝え、と一緒に店を出た。
店を出る直前に、「柚葉のことよろしくお願いしますね、冨岡様!」と託される。
女将さんといい炭治郎といい…
俺とがどうなると思っているのだろうか。
「冨岡さんはこの後ご予定とかありますか?」
店を出てすぐ、そう訊ねられる。
「いや…」
特にはない。
そう言おうとした。
だがよく思い出せ、俺。
あるではないか。
大事な用事が。
「、ちょっと来い」
「え?」
キョトンとするの手を引いて、数歩離れてしまったの店に戻る。
入り口付近に置かれている長椅子の所まで連れて行くと、昨日と同じようにそこへを座らせて、俺もその隣に腰掛けた。
「今日、お前に渡そうと思っていたものがある」
「私にですか?」
なんだろう?とわくわくした瞳で俺を見つめる。
そんな目で見られると出しずらいな…
がっかりさせてしまったらどうしようと少々不安になった。